こんにちは。まさです。
『1からのマーケティング』の第二部の後半についてまとめていきたいと思います。
前回の復習
昨日は第二部前半についてまとめました。マーケティングの4PのうちProduct, Price, Promotionの一つひとつを見ていきました。
この内容をざっくりざくざくまとめると
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経営戦略からスタートする製品戦略や、市場機会分析から製品のマネジメントは始まる。市場調査も大事ってカルビーさんが言ってた
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価格を設定する時にはバリュー・ネットワークを意識して場所と顧客とタイミング、需要の価格弾力性など全体を見渡していこうって通信会社さんたちが言ってた
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製品を広める際にプロモーション・ミックスとメディア・ミックスをうまく活用すると参入する市場さえも増やすことができる、やばいぜってP&Gさんが言ってた
ということでした(本当に乱暴にまとめているので具体的な内容は記事を参照してください)。
今回は4つ目のP、Place(流通)に関する話をしていきたいと思います。
チャネルのマネジメント
僕たちが買い物をする時には小売業者を利用しますが、それはメーカーが自前の工場で生産した商品を主に卸売業者を介して小売業者へと届けているからです。つまり流れとしてはこういうこと。
メーカー → 卸売業者 → 小売業者
卸売業者や小売業者のことを「マーケティング・チャネル」(または単に「チャネル」)と呼びますが、メーカーは好条件で消費者に自社の製品を届けるためにチャネルを選び(チャネル選択)、自社との約束事(希望価格で売ってくれるかなど)をチェック(チャネル管理)することになります。
資生堂のチャネル・マネジメント
本書では資生堂のメークアップ・ブランド「マキアージュ」の例が紹介されていました。
マキアージュは、25歳〜35歳の女性層を主なターゲットとする新ブランドとして世に出されました。そこで、ドラッグストアなど活動的な若い女性らに支持されるところが有力チャネルとして注目されました。
しかし、ドラッグストアは有名ブランドの化粧品を安売りすることが魅力の一つでもあったので、安売りをされてしまうとマキアージュのブランド・イメージが損なわれます。
そこで資生堂はメーカー希望小売価格を商品に表示しないノープリントプライスを導入しました。これは値付けを全面的に小売店にまかせる「オープン価格」と異なり、参考価格を各小売店に文書などでこっそりと提示するやり方みたいです。
これでドラッグストアという伝統的なチャネルとは違ったチャネルを選択しながらも、ブランド・イメージを守るためにしっかりチャネル管理をしたのでした。
チャネル選択において考えるべきこと
チャネル・マネジメントを行う上で考えるべきことが大きく二つあります。それは
- チャネルを長くするのか、短くするのか
- チャネルを広くするのか、狭くするのか
です。
チャネルの長短
例えば
メーカー → 消費者
は0段階チャネル。
メーカー → 小売業者 → 消費者
は1段階チャネル、と言った感じです。
もちろん、チャネルが短い(0段階または1段階)方がいいですが、このようなチャネルでしっかり利益を得られるのは力の強いメーカーです。
0段階チャネルの例として通信販売や訪問販売が挙げられますが、消費者がわざわざ購入しに来てくれたり、わざわざ訪問販売員を使って売っていけるのは相当な経営資源の質と量が無ければなりません。
1段階チャネル、すなわち小売業者とメーカーが直接交渉が実現するのは小売業者(基本は大手小売業者の本社の仕入れ部門が想定される)にとってメーカーの製品が重要だからです。
卸売業者を入れたり、大手卸売業者に二次卸売業者を介在させる2段階や3段階チャネルは長いチャネルと言うことになります。
チャネルの広狭
メーカーは卸売・小売段階においてどれほど多くのチャネルを通して自社商品を販売させるのかを決めなければなりません。
最寄品(砂糖・醤油・石鹸・歯磨き・靴下など)であれば開放的チャネルを選択することになると思います。コンビニ・零細小売店・量販店など多数で多様な小売業者に扱ってもらうために、多数の卸売業者を利用しなければなりません。
買回品(アパレル商品・服飾雑貨・家具など)であれば選択的チャネルを選ぶことになります。最寄品はある程度販売窓口を制限することになります。
専門品であれば排他的チャネルを選択することになります。フェラーリや有名輸入ブランドは専門店のみでしか販売していませんね。
チャネル管理で考えるべきこと
チャネルの選択をしたとしても、流通業者がメーカーが意図したとおりに協調してくれるかどうかは定かではありません。自然と、メーカーは流通業者に対してモチベーションを与えたり、統制をすることになります。
これをチャネル管理と呼ぶというのは説明しましたが、チャネル管理を可能にするには何らかの経営資源が必要になります。それは一般にパワー基盤(power base)とよばれます。
パワー基盤には5つの種類があると言われています。それぞれ
- 報酬パワー基盤:流通業者がチャネルとしての目標達成をしたら報酬を与える等
- 制裁パワー基盤:目標達成できなかった場合の強制的措置
- 情報や専門性パワー基盤:メーカーが流通業者より重要な専門知識を持っていたり、優れた情報処理能力をもつこと
- 一体感パワー基盤:流通業者を惹きつけ、共感あるいは帰属意識を得る能力のこと
- 正当性パワー基盤:流通業者の行動に影響を及ぼすためにメーカーが流通業者に影響される義務があると思わせる能力のこと
と言われています。
今回は思ったよりも長くなったので、ここで終わりにします。
ではまた。